水環境プロセス工学研究室
- 王 暁琳 特任教授
世界中に安全な水資源をもたらす水処理膜の研究
世界には水資源が乏しく、飲料水の確保に苦労している地域があります。また、開発途上国などでは、急速な産業の発展に伴い、工場から出る排水が深刻な環境・健康被害を及ぼしているといった問題もあります。豊かさを追求しながらも、人々の命や健康を守り、環境にもやさしい水資源の確保を目指す。それが私たちの研究の意義とも言えるでしょう。具体的には、RO膜(逆浸透膜)とナノ濾過膜(選択分離膜)と呼ばれる2つの水処理膜を使って脱塩・分塩処理をすることで、海水や塩湖の水、工業排水などから有害物質を選択的に分離し、限りなく純度の高い水を精製します。また、効果的な水処理膜の生成に必要な材料の開発も私たちの研究の主たるところです。学生にはこの分野の知識の修得・実験装置の使い方だけでなく、計画性、課題把握・解決力など、研究を進めるうえで必要な素養も身につけてもらいます。そのために、月1回のグループミーティングや合宿を通じて学生同士で意見交換したり、教員からフィードバックを行ったりしています。また、研究内容に近しい業界の企業研究会や、海外の研究者との共同研究などへの参加を通じ、幅広い視野・知見を育む機会を設けています。
研究室所属学生メッセージ
高校生の頃から水質問題に興味があったため、膜を使用した水処理について研究を行っている水環境プロセス工学研究室に入ることを決めました。
水処理に使用する膜には小さな孔が多数存在し、汚れた水を通すことでろ過を行うことができます。しかし、水中に含まれているタンパク質などの汚れが膜の孔に付着することで、水の通りが悪くなってしまう点が課題です。そこで研究室では、汚れが孔に付着せず、長期間使用できる膜の作製を行っています。この研究が進展することで、実際の浄水場でも使用可能な膜ができるのではないかと考えています。
研究室では、研究成果を発表する機会が月に1回程度あります。発表内容について先生からフィードバックをいただけるため、今後やるべき実験が明確になり、研究のモチベーションとなります。研究設備が充実しており、研究に打ち込める環境が整備されている点もこの研究室の魅力だと思っています。