資源循環工学研究室
- 金 熙濬(キムヒジュン)特任教授
リンの循環利用やバイオマスの開発で地球環境を改善する
本研究室では、反応工学という分野で、資源を循環して利用することや、地球温暖化問題を解決する方法を研究しています。例えば肥料の3大成分の一つで、食料生産には必要不可欠なリンという元素がありますが、リンは採掘できる埋蔵量が原油よりも少なく、資源確保が問題となっています。これは食料生産にかかわる問題であり、人類全体での資源の循環利用などによる問題の解決が急務です。その解決法の1つとなるのが、下水汚泥灰からリンを回収し、肥料として循環利用すること。リン資源不足問題を解決する研究や、温暖化問題解決のため海の肥料を開発する研究、バイオマス・泥炭の高品位化に関する研究を行っています。
研究室は毎週の報告会があり、研究進捗の報告とディスカッションを行います。そのほかにも、夏休みや冬休みの前の中間報告会、英語の文献を読む勉強会もあり、研究の発表力やまとめる力を身につけることができます。
今の時代は自分が行った研究結果を自力で考え、研究方向を修正しながら完成させることができる力や、発表できるコミュニケーション能力等が不可欠です。これらは個人差があるので、毎週の報告会を通して個人にあった指導を心がけています。
研究室所属学生メッセージ
本来ゴミとして廃棄されている動物の糞には、飼料の元となるリン成分が含まれています。当研究室では、動物の糞を燃やして得られた灰からリン成分を回収する研究に取り組んでいます。最終的にはこの研究を通して、SDGsおよび養鶏産業の活性化に貢献できる研究であり、大変興味深いです。
年々、飼料の価格は高騰しています。そこで、鶏糞灰に塩酸を加え、リン成分を溶出させることで得られた溶出液から、飼料用のリン酸カルシウムを製造。今後は、溶出液に水酸化カルシウムを滴下し、溶出液のpHの調整を行い、リン酸カルシウムの製造を予定しています。その際に、最適なpHの値などの実験条件を導く必要がある点は、本研究の苦労するところではありますが、魅力の1つでもあります。
また、ゼミの活動面においては、週に1回指導教官が研究員の進捗状況を確認し、アドバイスをしてくださるのでありがたいです。